「麗しのうつわ」展 (出光美術館)2010/03/24 18:26

 出光美術館で行われた「麗しのうつわ」展に21日、行ってきました。柏木麻里さんが企画なさったものです。

 日本のやきものの名品を一同に見ることが出来て、とても贅沢な時間を味わうことができました。入り口を入るなり、野々村仁清の茶碗や茶壺が出迎えます。野々村仁清は、17世紀京都で活躍した京焼作家だそうで・・。あの有名な尾形乾山も仁清から技法を学んだとか・・。

 その艶やかな「色絵芥子文茶壺」に見とれてしまいました。深紅の芥子が壺一杯にいくつも咲いています。その、花々の配置と色の配合が絶妙で、何ともいえないバランスをとっています。花の上には金彩がほどこされ、裾の方には蒔絵のような黒い雲形。優雅な趣です。

 「朝鮮唐津上手付水注」も良かったです。京焼と違い、技巧的な絵柄の美しさではなく、素朴な土の感触が楽しめるような陶器です。釉薬の流れで生じる自然の色の美しさ。白釉が流れだし、黒鉛釉と混ざり合うその境界に時間を忘れるほど開放的に広がるコバルトブルーの美しい空間。偶然に生まれる色や余白に昔の人は美意識をかんじていたのですね。秀吉が朝鮮半島から陶工を日本に連れ帰り、作らせたと聞いたことがあります。時代背景も複雑です。

 茶碗の銘にもひかれました。釉薬をかけ残し、白い余白を梅の花びらに見立てた「此花」。闇のような深い色合いが能面を思わせる「黒面翁」。あんなお茶碗でお手前を見て、お茶が頂けたら・・・。(すごすぎる・・。)手のひらに包まれた言葉、ぐわ~んと広がる小宇宙。ものすごい贅沢でしょうね。楽しませて頂きました。

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