「私の東京」2009/09/30 10:05

 大阪時代の友人、写真家・伊藤昭一さんの個展が新宿のエプソンイメージギャラリーエプサイトで行われました。

 「私の東京」というタイトルです。多摩川の河川敷、新宿、駒込、亀戸、足立・・、町並みの裏通り。電線の伸びる小道。遊ぶ子どもたち。廃墟のような工場。けだるく歩く女の後ろ姿。雑草の生い茂る空き地の塀でこちらを挑むように見つめる猫・・。なぜか懐かしい、みたことのある風景が白黒の世界に切り取られています。ここにあるようで、ないような・・。タイムスリップしたような空間。漂流者としての伊藤さんがみつめる風景は、何かをいいたくても言えない、風景から像が立ち上がる前のもどかしさ、危うさを感じさせました。

 一連の作品には次のような文章がそえられて、これから物語が始まるようです。

 「私小説を書くように、自分と自分のいる場所を伝えたかった。ちょうど不惑の時期、体を壊し、仕事と家庭をなくして、ここにたどり着いた。わたしを誘ったものはなんだったのか。どうしてここにいるのか。短い旅をくり返すような感覚で東京の街を歩き、写真を撮りながら、わたしの分身たる主人公はいまだ問いつづけている。」

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://pipinera.asablo.jp/blog/2009/09/30/4607094/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。